復興こけし(伝統こけし工人 陳野原 幸紀)
「動きながらやるしかないんだ!!」 |
福島市の名湯・土湯温泉でこけしを製作している土湯こけし工人の陳野原幸紀さんです。 まず、現在の土湯温泉を聞きました。 「いつもなら夜になると宿泊のお客様でお店もにぎわってるんだけど震災後は真っ暗な状態が続いているんだよね。」 現在は、浜通りの被災者の方々が旅館で暮らしています。
旅館もお店も風評被害に悩まされているのが現状で、土湯の再建に向けて動いているそうです。 震災後は、毎年4月に行われていた「こけし祭り」も中止された他、全てのイベントが自粛ムードになっています。
「震災直後、何もできなかったから"復興こけし"をつくってみたんだ」と陳野原さん。実物を見せてもらうと、こけしが蓋になっていて、その中には小さなこけし約30体が寄り添っていました。 「この"復興こけし"は、寄り添って皆で頑張っぺ!!という気持ちを込めてつくったんだよ」と穏やかな表情で話してくれました。
「毎日こけしの表情は違うんだよ。自分が悲しい時は悲しい顔になるし、うれしい時は、笑っているようにみえんだ。」 こけし工人の工房にあるこけしを見ていると、本当にこけしの表情が一体一体違っていて、何か話しかけているようにも感じました。
そして「伝統を守りながら、現代風のこけしをつくり多くの人にこけしの魅力を伝えていくことも大切なんだ」とのこと。 私も福島の良さを多くの人に知ってもらうことが'福島らしさ'を伝えることなのだと実感しました。
土湯こけし工人 陳野原 幸紀(聞き手 第一印刷・谷口宏子) |