6月9日(木)第2回 食の安心安全分科会を開催しました。
福の鳥プロジェクトでは「子供たちに笑顔を」を共通テーマに、安心して子供たちが暮らせるため、安心できる安全な物を提供したいと思っています。
そのためには、私達自身が放射能の事を学び、正しく理解する事が必要です。そこで今回の分科会では、実際に参加者全員で放射線の測定を行いました。
~放射線測定方法を学ぶ~
分科会にさきがけ、去る6月1日、福島市産業交流プラザの職員も交え商品の表面放射線量の測定を行い、実際に行う為の測定方法を学びました。
1日は福島市で民間企業の要請による放射線量測定の初日で、第一印刷の会議室に集まり屋内外の空間放射線量測定と、福の鳥プロジェクトメンバーの商品と材料の表面放射線量の測定を行いました。
今回使用した空間放射線量を測定するサーベイメータは、福島市が学校などに配布するために発注した150台中、初回納入分50台の1台で「環境放射線モニタPA-1000Radi(堀場製作所製)」といい、性能について証明書が発行されるサーベイメータです。
※手前の白いサーベイメータ 奥はこちらで用意した「TERRA MKS-05(ウクライナECOTEST社製)」
始めに空間放射線量を測定する方法を学びました。サーベイメータには方式の異なるものがいくつかあります。まずはこの「PA-1000」と、こちらで用意した「MKS-05」の2種類を使って測定の会場となる会議室内の空間放射線量を測定しました。
測定値は、測定高100cm、時定数10秒で5回測定した値の平均値で「PA-1000」では0.32μSv/h、「MKS-05」では0.21μSv/hという結果でした。
「PA-1000」がシンチレーション式、「MKS-05」はGM管式という計る放射線の測定方式の違いもあり測定数値が異なりましたが、0.11μSv/hの差は想定内の範囲であるとの事でした。
次に「半導体サーベイメータTSS-101(アロカ製)」を使い製品の放射線量を測定しました。この測定器は食品や液体の測定を行う機器ではなく製品表面の放射線量を測定するサーベイメータです。プローブと呼ばれる検出器を本体から取り外して使います。
測定方法については、雇用・能力開発機構ふくしま(ポリテクセンター福島)にて、財団法人放射線計測協会が中心となり行っている、放射線量等無料測定サービスと同じで、検出器を対象物から1cmの距離に固定し、決められた時間(この場合は30秒)測定します。この場合プローブを対象物に接触させない様に注意します。
測定者は対象物が除染が必要な量の放射線量だった場合に備えゴム手袋、マスクを着用し、アルコールでバックグラウンド(対象物を置く場所)を除染します。また検出器も同様にラップで被っておきます。
その後、基準となるバックグラウンド値を計り記録し、実際の製品を測定して測定値の差を比較して放射線量を算出します。測定単位はcpmで換算表によると
1,000cpm=4Bq/平方センチメートル=0.033μSv/h
となります。
測定値の差が1,440cpm以内であれば通常の範囲内の数値という事で、今回測定した商品や原材料は最大値でも27.4cpmと低い数値で問題無しという結果となりました。
今回参加した福の鳥プロジェクトメンバーで組み木商品と原木を測定した「空とぶくじら」さんは、「子供が触れる組み木なので放射線量が心配だ」と話していましたが、問題無しという事がわかってとてもホッとした様子でした。前日から不安で寝られなかったとの事でとても嬉しそうでした。
工房「空とぶくじら」ホームページ http://www.soratobu-kujira.jp/
~自分自身での放射線測定体験~
6月9日の分科会の会場は第一印刷。13社26名の福の鳥プロジェクトメンバーと福島市産業交流プラザから産学連携コーディネーターの方が参加しました。分科会では6月1日に行った放射線測定の報告や横山氏によるセミナーを開催し、福島県県北地方振興局企画商工部より無料で借りたサーベイメータを使用し参加した人たちが各々持ってきた自社の製品等を、自分達自身で測定する測定体験を行いました。
今回使用したは「GM管式サーベイメータTGS-146(アロカ製)」という、β(γ)線を測定する機器で対象物表面の放射線量を測るものです。
福の鳥プロジェクトで購入する「NaIシンチレーションサーベイメータTCS-172B(アロカ製)」とは別のタイプのものですが、測定方法の基本は同じです。
6月1日に測定した機器(TSS-101)よりも精度が高く、メーカーによる定期点検済(測定値の正確性が検査済み)ですので、測定値は正式な数値として取り扱う事が出来ます。
※福の鳥プロジェクトメンバーも取材に来られた記者さんも、皆真剣に測定を体験していました。
各自測定し、問題無い数値(バックグラウンドとの差が1,440cpm以内)よりもずっと低い数値(28cpm~122cpm)が測定されると皆笑顔を見せ、測定前の緊張した表情から安堵した表情になっていました。また取材に来られた新聞記者の方も取材用カメラを測定して数値結果に安心していました。
持ち寄った商品の中にはお菓子、精米、食肉もあり、今回使用した「TGS-146」では食品内部の放射線量を測定する事は出来ませんでしたが、参考値としてのパッケージ表面放射線量も問題無い低い数値(34cpm~47cpm)でした。
測定後は、参加した福の鳥メンバーで意見交換があり、「震災の影響に対しては、国が支援を決め予算付けをしているが、原発の影響に対しては国なのか東電なのか決まっていない。それを待っていたのでは会社がやっていけなくなる。国や県にどんどんアピールしていかなくては解決しない。待っていただけでは改善されない」などの意見があり、市や県では食品の放射線量の測定は行えず各自民間の分析施設に検査を依頼しているという事や、検査施設が少なく依頼しても検査結果が判るまでの期間が長い事、検査料金の事など話が出ました。そして、今回、放射線量測定を実際に体験した事で、皆、民間での「安心安全確認システム」が運用出来る事を実感しました。
福の鳥プロジェクトでは、民間による「安心安全確認システム」を構築して、9月6日~9日に東京ビッグサイトで行われる「第10回グルメ&ダイニングスタイルショー秋2011」で発表致します。
※前回の記事ではギフトショーを予定していましたが、ギフトショーでは食品が展示できないため主催者側と相談し食品部門のグルメ&ダイニングスタイルショーへ出展する事となりました。今回は震災支援の企画も進んでいるそうですので、世界中のバイヤーに福島の商品の安全性を理解していただけるようにして行きたいと思います。
次回(7月21日)の「第3回 食の安心安全分科会」では、「安心安全確認システム」を構築する為に導入される測定器と同型の「TCS-172B」を借りて、厚生労働省が平成14年3月に発表した「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」に基づいた食品の放射能測定実験を行います。
測定結果をどのような形式で記録し、行政に担保してもらえるのかが次の課題となります。地域の企業や生産者の方々で、興味のある方、参加を希望される方々がおられましたらこちらから「福の鳥運営事務局」までご連絡ください。
今回導入する「NaIシンチレーションサーベイメータ(TCS-172B)」は高額な機器ですが、福島の復興のためにいただいた寄付金を購入資金として使わせていただきました。寄付いただいた方々の気持ちを無駄にすることなく、必ず「安心安全確認システム」を実現させて、被災地の風評被害を乗り越えてみせます。皆様の応援、本当にありがとうございます。
これからも「安心安全確認システム」では、測定機器の購入は必要です。
現在発注しても、被災地を優先していただいて1.5ヵ月から3ヵ月の納期となっていますが、生産現場での測定は、参加企業が増えるほど台数が必要とされます。引き続き寄付などの応援をいただけましたら幸いです。
寄付のお問い合せもこちらからご連絡くださいますようお願いいたします。
※寄付金の領収書が必要な場合は、匿名ですとお送り出来ません、その旨ご連絡いただき連絡先を忘れずにご記入ください。