第3回 「食の安心安全分科会」
風評被害により福島の商品が売れなくなっている現状を払拭する為、前回は工業製品等の表面線量の測定でしたが、今回は食品の線量測定を参加者全員で学び体験しました。
◆安全なものが売れない◆
汚染ワラの問題により、7 月に牛肉が全県出荷停止になってしまいました。個体識別番号で安全性がはっきりしている牛肉ですら売ることができない状況です。全頭検査を行うにしても果たしてやり切ることができるのかという疑問の声も上がっています。
また福島の名産と言えば桃。生産者だけでなく、消費者も他に負けない美味しさを誇りにしています。桃の安全性を確認することは、福島の誇りを守ることにも繋がります。
【写真をクリックすると「生産者の思い」をご覧いただけます】
安心安全のために
◆民間・行政・専家門が集結◆
今回の分科会は20 名が参加。食品や物産のメンバー以外に、福島県と福島市、銀行の地域振興担当、放射能測定器の販売会社、民間の測定検査会社など、多様な業種のみなさんが参加しました。また福島県の担当者からは展示会出展助成金についての話や企業のための復興支援制度などが紹介されました。
安全なものを売るために
◆自分たちの商品を自ら測定◆
「安全」なものを正しく売る為に参加企業は食の安心安全担当者と共に測定しました。担当者はこの日の為に専門家と協力し測定を重ねてきました。
~食品測定には精度の高い測定器が必要~
【円筒形のプローブがセンサー部。このTCS-172B のプローブは先端から全周方向に対して測定できます。】
前回使用したTGS-146B は食品の内部までは測定できず、表面の測定のみ行いました。
今回のTCS-172B はより感度が高く、測定できる範囲が広いため、食品の内部に差し込んで内部線量が計測できます。
~正しく測定手順を学ぶ~
福の鳥プロジェクトでの検査方法と基準値の判定は、「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」(厚生労働省・平成14 年発表)に準拠しています。
①測定環境を整えるため、バックグラウンド(測定対象を置く場所)を除染します。
②食品を計量して容器に隙間なく詰めます。
③プローブを深く差し込むために、中央部に凹みを作ます。
④外気の影響を受けないようにプローブを対象に密着させて測定します。
⑤単位はcps(count per second:1 秒毎の放射線の個数)。時定数30 秒。測定開始90 秒後から計測を始め、以後30 秒おきに計3 回計測。
⑥3 回の平均値を測定値としてバックグラウンドと測定対象のcps の差分を算出。
~数値の記録方法と測定結果~
①バックグラウンドの133.6cps(0.196μSv/h)
②測定対象は110.3cps~129.7cps(0.160~0.187μSv/h)
いずれもバックグラウンドよりも低い数値となり、厚生労働省のマニュアルに照らし合わせて、問題ないと評価できる結果でした。
このマニュアルでは、測定対象の値がバックグラウンドより20%高い値を示せば、測定対象に放射能があると判定し、ゲルマニウム半導体検出器を用いたγ線スペクトロメトリーによる精密核種分析へまわすことになっています。